ビットコインの将来性はある?貨幣となる未来【考察】

暗号資産

こんにちはシンです。

今回の記事は、書籍「ビットコイン・スタンダード」から、貨幣の持つ3つの機能ビットコインが貨幣となる未来はあるのか?について紹介します。

ビットコインの将来性が気になる方は一読の価値があります。

結論からいきます。

ビットコインが貨幣となる可能性はあります。

その根拠となる貨幣の持つ機能は以下の3つです。

  • 交換手段
  • 価値貯蔵手段
  • 価値尺度

ビットコインが貨幣として利用されるためには、貨幣としての機能を有していなければいけません。

つまり、ビットコインを理解する=貨幣の理解が必要です。貨幣を理解するために、その機能を見ていきましょう。

それでは解説を始めます。

貨幣の機能①:交換手段

交換手段は貨幣の主要な機能です。

その交換手段には以下の2つの交換方法があります。

  • 直接交換
  • 間接交換

直接交換

価値を交換する方法はたくさんありますが、最もシンプルなのは価値あるものを別の価値あるものと交換する方法です。

いわるゆる物々交換(直接交換)です。

この直接交換には欠点があります。

それは、小規模な経済圏しか機能しないことです。詳細に説明します。

まず小さな経済圏で他の経済圏との交易がない場合、ものや取引機会が非常に限られてしまうので、生活必需品は自分が生産するものと交換して入手することになります。

これでこと足りれば問題ないのですが、経済は拡大するものです。

経済圏が拡大すると、たくさんの財で生産が進み取引機会が増えていきます。

その中で「欲求の一致の欠如」という問題が発生します。

これは、「あなたが欲しいものを生産している相手」は「あなたが生産しているものを欲しがっていない」という状況です。

この一致の欠如は3つに分類できます。以下の3つです。

  • 規模の一致の欠如
  • 期間の一致の欠如
  • 場所の一致の欠如

規模の一致の欠如

規模の一致の欠如とは、交換対象の2つの財の価値が同等ではなくて、さらに価値の分割が困難な場合の時に起こる問題です。

例えば、靴と家の交換です。靴一足分の価値と同等にするために家を分割することはできませんし、家の価値に相当する大量の靴と家の交換が成立することも困難ですよね。

期間の一致の欠如

これは、モモのような生鮮品と車のような耐久財の交換で生じる問題です。

車の価値に相当するモモを一度に用意することは難しいですし、数を確保する前にモモは腐ってしまいます。

場所の一致の欠如

所有する家を別の場所に建つ家と交換したいからといって、家を移動させるわけにはいきませんよね。

以上の3つの欠如のどれかが生じると、1回の物々交換では欲しいものが入手できずに交換を何度も繰り返すことになります。このため直接交換は実用性に欠いてしまいます。

この直接交換の欠点を克服したのが「間接交換」です。

間接交換

間接交換とは、特定の財を交換手段と決めて、生産者全員が生産物と引き換えに交換手段である財を受け取る仕組みです。

そしてこの交換手段として広く使われる財こそが「貨幣」です。

この交換手段とは、消費目的で購入する商品でも、他の商品の生産に利用するために購入する商品でもなく、他の商品との交換を目的に購入される商品を指します。

投資財(株式、不動産など)も収益を他の商品と交換することを目的としていますが、以下の3点で貨幣とは違うものです。

  • 投資財は利益を生むが貨幣は利益を生まない
  • 投資財はリスクを伴うが貨幣は通常極めて低リスク
  • 投資財は流動性が低く取引コストが高い

上記の違いから投資財は貨幣を完全に代替することはできないため、貨幣需要は常に存在します。

万が一に備えて投資財よりも低リスクかつ必要に応じて即時換金可能な流動性の高い貨幣で資産の一部を保有したいと考えるのは当然ですよね。

数ある財の中で貨幣として選択される要件は「市場性」です。

市場性とは特定の財が市場でどれだけ容易に、どれだけ有利な交換比率で他の財やサービスと交換できるかを示すものです。

つまり「どんな財でも貨幣になれます

財が持つ本来の価値を保有または消費するためではなく、別の財との交換を目的に購入される財は事実上の貨幣なんです。

貨幣の定義や選択基準はそれぞれで、これまで様々な財が貨幣として利用されてきました。

貴金属、貝殻、石、塩、牛、政府発行紙幣、酒類、タバコなどが貨幣として機能していた時代もあります。

つまり貨幣とする財には「正解」や「不正解」はありません。でも、その選択には重大な結果がともないます。

貨幣が市場で利用されるための指標は、前述した3つ欲求の一致の欠如(規模、場所、期間)をどの程度補うことができるかという点から評価できます。

規模、場所の一致の欠如の2つは過去に貨幣として利用された財の大半に共通します。でも、貨幣財にとって最も重要な市場性は「期間の市場性」であり、時を超えて価値保全が可能なことです。

貨幣の機能②:価値貯蔵手段

期間の市場性がある財は時間が経っても減価しないため、資産の貯蔵に利用できます。これが、貨幣の第2の機能である「価値貯蔵手段」です。

期間の市場性が高い財は腐敗、腐食、劣化しません。

ただ、物理的な劣化耐性は期間の市場性の必要条件ではありますが十分な条件ではありません。

なぜなら、物理的性質に変化がないにもかかわらず、財の価値が暴落することがあるからです。

つまり、財の価値を保持するには、財の供給量が急増しないことが大前提となります。

歴史的にみて、貨幣として利用されてきた財には供給量を抑制する仕組みがありました。

貨幣の生産難易度で貨幣の健全性が決まります。

生産が困難で生産コストが高い貨幣はハードマネー(硬貨)、生産が容易で生産コストも安い貨幣はイージーマネー(軟貨)といわれます。

貨幣の健全性

貨幣の健全性は供給に関する2つの数値の「ストック」と「フロー」で決まります。

  • ストック…過去の総供給量から消費や劣化で消費した総量を引いた、現存する総供給量のこと
  • フロー…新規供給量のこと

ストックをフローで割ったストック・フロー比率は、貨幣の健全性と貨幣適性を示す優れた指標です。

このストック・フロー比率が低い財は価値貯蔵手段としての需要が増えてしまうと供給量が急増してしまうため長期の価値保持が難しくなります。

逆に、ストック・フロー比率が高い財は長期の価値保持が可能になります。つまり期間の市場性が高いということです。

例えば、ある財が価値貯蔵手段に選ばれると、価値貯蔵目的で財を購入する人が増えて財の価格が上昇します。そしてこの価格上昇は財の生産者に増産を促してしまいます。

この時にストック・フロー比率が高いハードマネーであれば、ストックに対するフローが少ないので、増産による供給量の増加は価値にほとんど影響しません。

逆にストック・フロー比率が低いイージーマネーの場合は、供給量の増加は価格の下落に直結します。そのため、貨幣価値が下がって、貨幣保有者の資産も減少して財は期間の市場性を失ってしまいます。

貨幣として利用されている財の供給量が何らかの原因で急増すると、財は必然的に貨幣機能を失い、よりストック・フロー比率が高い財に貨幣を座を奪われることになります。

貝殻が貨幣として使われていたのは、貝殻が採取困難だった時代で、タバコが貨幣として使われていたのは、それが入手困難な刑務所だけである。

技術が進化して、貝殻の採取や輸入が容易になると、貝殻にかわって国が製造する紙幣や硬貨が貨幣として使われるようになりました。

政府が貨幣の供給量を増やすと、国民は資産を守るために自国通貨を売って外貨や金などを買うことを余儀なくされました。

財が貨幣の役割を長期にわたって担うには、供給拡大を抑制する仕組みを備えているハードマネーであることが求められます。

いつの時代も貨幣間競争は存在しています。技術進化がストック・フロー比率に与える影響を予測することで競争を制する通貨が見えてくると思います。

何を貨幣に選ぶかは個人の自由ですが、供給量が限られて減価が小さいハードマネーを選択する人が長期的には報われます。イージーマネーを選ぶ人は供給拡大による貨幣の減価で資産を失うことになります。最も市場性が高い貨幣を保有する人に富が集まることは歴史が証明しています

貨幣の機能③:価値尺度

特定の交換手段が社会に普及すると、あらゆる商品の価格が交換手段を単位として表示されるようになります。

これが貨幣の第3の機能である「価値尺度」です。

異なる交換手段が混在する社会では、商品は異なる交換手段で表示される複数の価格を持ってしまうため、計算が煩雑になってしまいます。

交換手段が1つに統一された社会では、あらゆる商品価格が同じ価値尺度で表示できます。

こうした社会では貨幣が価値を測定する物差しとして機能します。

価値の物差しのおかげで、生産者は提供する価値に応じた対価を得ることできて、消費者は欲しかった商品に支払うべき適切な価格を判断できます。

価値尺度として使える標準交換手段が存在することで初めて複雑な経済計算ができるようになります。

そして、複雑な経済計算ができることで初めて分業が高度化して資本貯蓄が進んで市場が成長していきます。

市場経済の基礎は価格です。

基礎である価格が多様な商品の相対的希少性を正確に反映するためには、標準化された交換手段が不可欠になります。

でも、交換手段がイージーマネーの場合、貨幣供給が操作され、価格が機会費用を正確に反映することができません。

そのため、貨幣供給の予期せぬ変動は、価値測定や経済情報伝達という貨幣の重要な機能を損なってしまうのです。

健全な貨幣の機能

交換手段が標準化すると、その利用者数の増加とともに経済圏が拡大します。

経済圏が広がるメリットには、分業と貿易による利益機会拡大がありますが、もっと重要なものに生産活動の効率化生産方式の持続性があります。

生産者は資本財の生産に特化して、最終消費財の生産を先送りできるようになると、生産性と商品品質が向上します。

ちょっと難しと思うのでわかりやすく説明します。

例えば、原始時代の漁業といえば漁師が海に入って素手で魚を獲ることで、漁に出るのはせいぜい数時間でした。それが、経済が発達して高度な道具や資本財が利用できるようになると、漁を行う時間が大幅に伸びて生産性も向上しました。

それが現在では、建造に数年かかる高性能な漁船を使い、数十年という長期にわたる操業が可能になっています。高性能な大型船は小型船では行けない海域に出て、遠くにしかいない希少な魚を獲ったり、小型船が運航できない悪天候でも操業できます。

資本蓄積のおかげで、操業時間が伸びて労働生産性も向上し、さらに高度な道具のない原始的経済では生産できなかった高品質の商品を生産できるようになりました。

この進化の背後には健全な貨幣の存在がありました。

分業を可能にする交換手段、消費よりも投資に励む未来志向の人に報いる価値貯蔵手段、経済計算を容易にする価値尺度3つの機能をきちんと果たす貨幣があったからこその進化なんです。

まとめ:ビットコインの貨幣としての可能性

これまで多様な財が貨幣の役割を担ってきました。

貨幣の健全性と生産難易度は時代や社会の技術水準で変わるので、その変化に応じて貨幣に使う財も変わります。

貝殻から始まって、塩、牛、銀、金、金で裏付けされた兌換紙幣、そして現代の法定通貨まで、技術の進化に伴って新しい貨幣が生まれました。

でも、新しい貨幣は新しい利便性を提供すると同時に新しい問題も引き起こしてきました。

貨幣史を振り返ると、良い貨幣と悪い貨幣の特徴も見えてきます。

その中でビットコインは良い貨幣となりる3つ機能を満たしているといえます。

以下の3つです。

  • 交換手段
  • 価値貯蔵手段
  • 価値尺度

だから私はビットコインは将来、貨幣として可能性があると考えているのです。

参考にした書籍です。

 

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